私たちの体は日々、紫外線やストレス、食生活の乱れなどによって酸化ストレスを受けています。
酸化が進むと、老化の加速や生活習慣病のリスクを高める要因になるため、健康を維持するためには、抗酸化対策を意識することが重要です。
この記事では、抗酸化作用が高い栄養素や食べ物、毎日の生活習慣でできる抗酸化対策について分かりやすく解説します。

【目次】
抗酸化作用とは

抗酸化作用とは、「活性酸素」の働きを抑え、細胞を守る栄養素の働きを指します。
呼吸や代謝の過程で必ず発生する活性酸素は、適度であれば免疫力の維持やウイルス・細菌への防御に役立つ物質です。
しかし、体内に活性酸素が過剰に発生すると、それに対抗する抗酸化物質や抗酸化酵素とのバランスが崩れてしまいます。
これは「酸化ストレス」と呼ばれる状態で、シミ・しわなどの肌トラブルだけでなく、生活習慣病やがんの原因の一つです。
活性酸素の発生を促す要因には、加齢や喫煙、飲酒、紫外線、激しい運動、睡眠不足、精神的ストレスなど、私たちの日常生活に直結するものが多く存在します。
そのため、活性酸素の過剰な発生を抑制し、抗酸化作用を高める対策は、美容やアンチエイジングのためだけでなく、日常的な健康維持のためにも欠かせない取り組みと言えるでしょう。
抗酸化作用が高い栄養素

抗酸化作用が高いとされる栄養素は、主に以下の3種類です。
・ポリフェノール
・カロテノイド
・抗酸化ビタミン (ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC)
ここでは、それぞれの栄養素の特徴や詳しい成分について、説明します。
ポリフェノール
ポリフェノールは、ほとんどの植物に含まれる苦味・色素の成分で、自然界に8,000種類以上あると言われています。
主な種類は以下の通りです。
・ アントシアニン
・ カテキン
・ カカオポリフェノール
・ コーヒーポリフェノール(クロロゲン酸)
・ ショウガオール
・ クルクミン
・ イソフラボン
など
いずれのポリフェノールも優れた抗酸化作用があることで知られていて、水に溶けやすいため、摂取してから短時間で効果を発揮するという特徴を持っています。
ただし、ポリフェノールによる抗酸化作用は長期間続くわけではないため、毎日こまめに摂取することが大切です。
カロテノイド
カロテロイドは、動植物が有する黄色や赤色の色素の総称で、自然界に600種類以上あると言われています。
主な種類は以下の通りです。
・ リコピン
・ βカロテン
・ カプサンチン
・ アスタキサンチン
・ ゼアキサンチン
・ ルテイン
など
いずれも強い抗酸化作用があり、水に溶けにくく油に溶けやすいという特徴を持っています。
抗酸化ビタミン
抗酸化ビタミンとは、抗酸化作用を持つビタミンの総称です。
具体的には、以下の3つの種類があります。
・ ビタミンA
・ ビタミンE
・ ビタミンC
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ビタミンA

ビタミンAはレチノール、レチナール、レチノイン酸の総称で、脂溶性ビタミンの一種です。
抗酸化作用の高い栄養素の一つで、活性酸素の攻撃から細胞膜を守り、肌や粘膜の老化を防ぐ役割を果たします。
目や皮膚の粘膜を健康に保つ働きもあり、体のバリア機能を支える存在の一つです。
特に、緑黄色野菜に含まれるβ-カロテンは体内で必要に応じてビタミンAに変換され、抗酸化物質として酸化ストレスを軽減します。
ビタミンAが不足すると、老化の進行や生活習慣病のリスクが高まるだけでなく、暗闇での視力低下(夜盲症)や眼球の乾燥、肌の乾燥などを引き起こす場合があります。
ビタミンE

ビタミンEもビタミンAと同じく、油に溶ける脂溶性ビタミンの一種です。
強い抗酸化作用があり、老化や動脈硬化などを防ぐ働きがあることから、「若返りのビタミン」とも呼ばれています。
また、ビタミンEには血行促進作用があり、皮膚の新陳代謝を高めてシミや黒ずみの原因となるメラニンの排出を促す効果も期待できます。
ビタミンEが不足すると、血行不良を引き起こす場合があり、肩こりや冷え性、頭痛などが起こりやすくなるでしょう。
さらに、紫外線などの外的刺激から皮膚を守るバリア機能が低下することで、シミやしわができやすくなる可能性があります。
ビタミンC

ビタミンCは、水溶性ビタミンの一種で、皮膚や細胞内のコラーゲンの合成に深く関わる栄養素です。
肌だけではなく骨や血管など、体内のあらゆる場所で細胞と細胞をつなげる役割を担っています。
抗酸化作用にも優れているため、老化予防や免疫機能の強化など、美容や健康維持に欠かせない栄養素です。
ただし、ビタミンCは体内で合成できないため、食事からしっかりと摂取することが大切です。
抗酸化作用のある食べ物のおすすめランキング

抗酸化作用のある栄養素は、どのような食べ物に含まれているのでしょうか。
続いては、抗酸化対策にぴったりの抗酸化作用のあるおすすめの食べ物について、ランキング形式で紹介します。
パプリカ・赤ピーマン

【含まれる栄養素】
・ カプサンチン(カロテノイド)
・ βカロテン(カロテノイド)
・ パプリカキサントフィル(カロテノイド)
・ ビタミンC
・ ビタミンE
パプリカや赤ピーマンには、強力な抗酸化力を持つカロテノイドが複数含まれています。
また、ビタミンCとビタミンEを一緒に摂取できるため、相乗効果で酸化ストレスを効率的に抑えられる点も魅力です。
生でサラダに使ったり、オリーブオイルで炒めると、脂溶性の栄養素の吸収が高まり、効率よく摂取できるでしょう。
レモン・グレープフルーツ

【含まれる栄養素】
・ ビタミンC
・ ヘスペリジン(ポリフェノール)
・ ナリンギン(ポリフェノール)
酸味の強いレモンやグレープフルーツは、ビタミンCが豊富な食べ物の代表格です。ビタミンCは強い抗酸化作用を持ち、紫外線やストレスによる肌トラブルの予防、免疫力の維持にも役立つ成分です。
さらに、柑橘類の皮や白い部分にはポリフェノールが豊富に含まれており、抗酸化をサポートしながら、血流改善や炎症抑制に作用します。
ドリンクやサラダに取り入れると栄養を効率的に摂取でき、加熱を必要としないためビタミンCが壊れにくい点も大きなメリットです。
オレンジ・みかん

【含まれる栄養素】
・ ビタミンC
・ βカロテン(カロテノイド)
・ βクリプトキサンチン(カロテノイド)
・ ヘスペリジン(ポリフェノール)
オレンジやみかんは、日本人にとってなじみ深い果物です。
みかんに多く含まれるβクリプトキサンチンは、骨粗しょう症や動脈硬化予防に関与する可能性も注目されています。
皮ごと使ったマーマレードやスムージーにすれば、ポリフェノールも余さず摂取できるでしょう。
トマト・プチトマト

【含まれる栄養素】
・ ビタミンC
・ βカロテン(カロテノイド)
・ リコピン(カロテノイド)
トマトやプチトマトに含まれるリコピンは、抗酸化力がビタミンEの100倍以上とも言われるほど強力です。
加熱すると体に吸収されやすくなるため、トマトソースやスープで取り入れるとよいでしょう。
えのきだけ・エリンギ

【含まれる栄養素】
・ エルゴチオネイン(アミノ酸)
・ グルカン
きのこ類は低カロリーで栄養価が高く、抗酸化作用を持つ成分も豊富です。
特に、ほぼきのこ類にしか含まれていないエルゴチオネインは、細胞を酸化から守る力が非常に強いとされています。
炒め物や味噌汁に加えたり、冷凍して旨味を引き出すことで効率的に栄養を摂れるでしょう。
小松菜・チンゲンサイ

【含まれる栄養素】
・ ビタミンC
・ βカロテン(カロテノイド)
・ ビタミンE
小松菜やチンゲンサイなどの青菜類は、βカロテンとビタミンCを同時に摂れるのが特徴です。
炒め物にすれば脂溶性のビタミンEの吸収も高まり、抗酸化作用をより実感しやすくなります。
鉄分やカルシウムも多いため、女性や成長期の子どもにもおすすめの食材です。
納豆

【含まれる栄養素】
・ 大豆イソフラボン(ポリフェノール)
・ サポニン
・ ビタミンE
納豆は日本の伝統食品であり、大豆由来の抗酸化物質を効率的に摂取できます。
例えば、大豆イソフラボンは女性ホルモンのバランスを整える働きがあり、更年期症状の緩和にも役立つとされます。
また、サポニンは血中コレステロールの酸化を抑制し、動脈硬化のリスクを低減してくれるでしょう。
毎日の食卓に取り入れやすく、継続して摂ることで健康効果が期待できます。
植物油

【含まれる栄養素】
・ βカロテン
・ ビタミンE
植物油には、抗酸化作用を持つビタミンEが豊富に含まれています。
また、β-カロテンを豊富に含む緑黄色野菜は脂溶性ビタミンなので、植物油を使って炒めることで、効率良く体内に吸収することができます。
・ ひまわり油
・ 綿実油
・ べに花油
・ 米油
・ コーン油
・ なたね油
・ 大豆油
・ オリーブオイル
・ ごま油 など
ナッツ類

【含まれる栄養素】
・ ビタミンE
ナッツ類も、抗酸化作用を持つビタミンEを豊富に含んでいます。
・ アーモンド
・ ヘーゼルナッツ
・ 落花生 など
また、ナッツは善玉と悪玉のコレステロールのバランスを整えると言われ、心血管疾患や生活習慣病にも役立つでしょう。
抗酸化作用を高める生活習慣のポイント

抗酸化作用を高めるためには、栄養面ばかりではなく、毎日の生活習慣を改善することも大切です。
続いては毎日の生活の中で意識したい5つのポイントを紹介します。
適度な運動で酸化ストレスを軽減

ウォーキングやジョギングなど、軽めの運動を日常的に取り入れることで、体の酸化ストレスへの抵抗力を高める効果が期待できます。
軽い運動が心身のストレスを改善させることで、活性酸素の発生を抑えられる とも言われているのです。
ただし、激しい運動や重い負荷がかかるトレーニングは、逆効果になることもあるため、日常的に無理なく取り組める適度な運動を心がけましょう。
質のよい睡眠で回復力を高める
睡眠中に分泌されるメラトニン(睡眠ホルモン)には、強力な抗酸化作用があります。
また、睡眠中には、細胞の修復や再生、肌のターンオーバーにまで関わっていると言われる成長ホルモンも分泌されています。
アンチエイジングに欠かせないこれらのホルモンをしっかりと分泌させ、回復力を高めるためには、質のよい睡眠を取ることが大切です。
喫煙や過度な飲酒を控える

喫煙や過度な飲酒は、体内で活性酸素を生み出し、抗酸化物質を大量に消費することによって、酸化ストレスを増強させることが報告されています。
アンチエイジングや健康維持のために抗酸化作用の高い栄養素を積極的に取り入れても、喫煙や過度な飲酒を続けていると、その効果が十分に得られなくなるため、注意が必要です。
紫外線対策で酸化ダメージを防ぐ

紫外線によるダメージも、体内の活性酸素を増やしてしまう原因の一つです。
特に、美肌効果やターンオーバーの正常化を目的に抗酸化作用のある食材を取り入れようとしている方は、日焼け止めの塗布や日傘・帽子などによる物理的な紫外線対策も徹底することをおすすめします。
ストレスをためないよう心がける

精神的なストレスが、自律神経やホルモンのバランスに影響を及ぼし、体内の酸化ストレスを増加させてしまうこともあります。
日常のストレスはうまく発散し、ためこまないことが大切です。
抗酸化作用のある飲み物はどれ?

抗酸化作用のある栄養素は、飲み物から手軽に摂取することも可能です。
「毎日の水分補給で手軽にアンチエイジングしたい」
「健康習慣として無理なく続けていきたい」
という方は、食べ物だけでなく、飲み物も意識して取り入れてみてはいかがでしょうか。
コーヒー

抗酸化作用のある飲み物としては、コーヒーが挙げられます。
コーヒーに含まれるコーヒーポリフェノールは、抗酸化作用を持つ成分の一つです。
また、脂肪の蓄積を抑える働きもあり、ダイエットにも良いと言われています。
お茶

緑茶や紅茶などのお茶には、タンニンやカテキンなど、抗酸化作用を持つポリフェノールが豊富に含まれています。
茶葉から浸出してお茶を入れるのも良いですが、大事な成分の一部は葉に残ってしまうため、効率良く栄養素を摂取するなら、粉末タイプがおすすめです。
青汁

青汁の主原料である大麦若葉やケールには、βカロテンやビタミンC、ポリフェノールなど、抗酸化作用に優れた栄養素が豊富に含まれています。
ミネラルや食物繊維も多く含まれているため、栄養バランスがよく、毎日の健康維持に手軽に取り入れやすいのが魅力です。
粉末パックが一般的なため、保存もしやすく、牛乳やお湯、ジュースなどに溶かしてさまざまなアレンジレシピも楽しめます。
抗酸化作用のある食べ物・飲み物でアンチエイジングを目指そう

抗酸化作用を持つ食べ物や飲み物は、体内で発生する活性酸素を抑え、細胞の老化やダメージを防ぐ重要な役割を果たします。
パプリカやトマトなどの緑黄色野菜、柑橘類、緑茶や青汁などの飲み物は、日常生活に無理なく取り入れやすいのが魅力です。
加齢やストレス、紫外線などによって酸化ストレスは誰にでも起こるものです。
毎日の食事から抗酸化成分を意識して摂ることで、シミやしわなどの肌トラブルをケアし、生活習慣病の予防にもつながるでしょう。
1日1〜2杯の青汁とバランスのよい食生活と組み合わせて、若々しさと健康な毎日を維持していきましょう。