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品質管理

「栄養にならない」のに大切!?腸内環境を整える食物繊維の真の働き!

食物繊維は「第6の栄養素」とも考えられています。一部の食物繊維が腸内細菌により有益な物質(酢酸、酪酸、プロピオン酸などの短鎖脂肪酸)に分解され、その後吸収されエネルギーとして利用されることが解ってきたからです。

一方でやはり、食物繊維の面目躍如たる、その最大の意義とは、栄養にならない(消化されない)という点に他なりません。

栄養にならないことが、私たちの健康にどのように役立っているのでしょうか。
おなかの健康に多面的に機能する食物繊維と私たちの関わり、改めて見ていきましょう!

腸(おなか)と2種類の食物繊維、その関係を整理する

食物繊維には大きく二つの役割が挙げられます。

一つは、消化吸収をゆっくりと抑えることで肥満、糖尿病などを予防する働き。これは主に水溶性の食物繊維がその中心的役割を担っています。水溶性食物繊維の代表格は熟した果物に多く含まれるペクチンなどです。

もう一つは、便のカサを増して(量を増して)、便を外に出す運動(ぜん動運動)を活発にし、大腸の機能を改善、大腸がんなどの病気を予防する働きです。セルロース、リグニンに代表される水にとけない不溶性食物繊維がこの働きの担当です。

実は、これら2種類の食物繊維は、はっきりと役割分担している訳ではなく、お互いに補完しながら腸の健康のために働いているのです。

不溶性食物繊維の多くは野菜など植物性の食品に含まれていて、食事でその量を増やすことは、相対的に肉類など動物性食品の量が減ることにつながります。

動物性食品は植物性食品より概ね高カロリーですので、その量を減らすことは全体のカロリーの低下につながり、結果として水溶性食物繊維と同じように肥満や糖尿病の予防の効果をもたらす、という側面が期待できます。

また、不溶性食物繊維は便のもとをつくりますが、それだけでは便は硬くなり過ぎ、むしろ便秘を招いてしまうことも。

そこに水溶性の食物繊維が加わると、適度に水分を吸収することで便を柔らかくし、スムーズな排便を促すことができるのです。

このように、可溶性、不溶性の食物繊維は互いに働きを補い合い、むしろ相乗効果を発揮している関係と言えます。

いかに食物繊維を含む食品を多くとるか、また食事における水溶性、不溶性、2種の食物繊維がどのような割合でふくまれるか、といったことが大切なポイントになりますね。

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長い時間をかけ、わたしたちは食物繊維と良い関係を築いてきました

私たちが普段の食事でとる食物繊維の量はいったいどのくらいなのでしょうか。

日常的な食事に食物繊維が含まれる量は乾重量当たり0.6%ほどでこのうち水溶性の食物繊維が約2割、残りが水溶性食物繊維ということになります。

食物繊維が極端に少ない食事では便秘を招いてしまうだけでなく、腸内環境の悪化をもたらし、さまざまな病気のリスクが高まってしまいます。

私たちの食生活は1000年単位のとても長い時間で、野菜などの植物性食品を中心に営まれてきました。
なかでも私たち日本人は、その食事のほとんどを植物性食品からとってきた、と言っても良いでしょう。

「欧米人の大腸は短く日本人の大腸は長い」

この違いはまさに、食物繊維をとる量が少ない(動物性の食品が主体)欧米と、食物繊維をとる量の多い(植物性の食品が主体)私たちの、長年の食生活の差が積みあがった結果、と考えられています。

食生活に、人の体が適応してきたことを裏付ける、とても興味深い例ですね。

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腸の働きを正しく守る、いま改めて見直す食物繊維を食べる意味

長い歴史とともに歩んできた日本人の食生活の内容は、この数十年の間に大きく様変わりしています。

肉類などの動物性食品を食べる量が増え、野菜などの植物性食品を食べる量が減り、それによる食物繊維をとる量の減少。このような食生活の変化は、腸(おなか)に大きな負担をかけることになってしまいました。

たくさんの食物繊維を日常的な食事として食べていたことで、栄養の消化と吸収は適度に緩やかに行われていました。ところが、食物繊維がだんだんと少なくなることで、消化吸収はより速く、効率的に。その結果、必要以上に栄養が体に吸収されるようになってしまったのです。

肥満や糖尿病の増加の一因として、このことは十分に考えられます。

また、食物繊維を多く含む食事は、しっかりとした便のもとをつくり、それにより大腸の機能が正常に保たれてきました。
食物繊維が足りなくなることにより、便は小さく、固く、排出されにくくなって、便秘を招きやすい状況に。

排出されるべき便が長く腸内に留まると、腸の働きが滞り、腸内環境の悪化を招くとともにやがて病気を引き起こす危険も高まってしまいます。

私たちの食事にとっての「栄養」の意味をもう一度考えてみましょう。

食物繊維の存在とその働きは消化されないことに大きな意味をもっています。

様々な栄養素が私たちの健康に本当に意味あるカタチで利用されるには、「栄養にならない栄養素」食物繊維の腸内での調整力がとても大切な働きを担っているからです。

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【まとめ】

エネルギーとなる栄養素を表とすると、その裏側で栄養のバランスを支える存在として消化されない食物繊維が大切な役割を担っています。食物繊維が私たちにもたらす最大の恩恵は「栄養にならない」という点にあるようです。私たちにとっても、腸(おなか)に住み着く腸内細菌たちにとっても大切な成分なのです。青汁や野菜などを毎日の食事でしっかりととって、不足しがちな食物繊維をしっかりと確保しましょう!

【参考URL】
食物繊維研究の教えるもの
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jshhe1931/60/5/60_5_237/_article/-char/ja/
平成27年国民健康・栄養調査報告
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou/dl/h27-houkoku-04.pdf